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かなり詳しい方程式の解き方─その4

前回は「かなり詳しい方程式の解き方─その3」を取り上げました。

かなり詳しい方程式の解き方─その3
前回は「かなり詳しい方程式の解き方─その2」を取り上げました。 今回は「その3」です。 難易度⑤・・・整数化(分数)→移項→計算→割る 今度は整数化の分数版です。 例えば、 \ この形式の方程式も...

今回は「その4」です。

発展編①・・・括弧( )が含まれる方程式

まずは括弧( )が含まれる方程式です。そんなに難しくありません。

こんな感じの問題はどうでしょうか。

\[5-3(2x+1)=-x+12\tag{1}\]

括弧( )を外して、いつもの形に持ち込みます
分配法則を適用して、

\[5 -3 × 2x-3 × 1= -x + 12\tag{2}\]

\[5 -6x-3 = -x + 12\tag{3}\]

負の数を乗ずる分配法則・・・
\[5- 3(2x + 1) = -x + 12\tag{1}\]
の左辺を分配法則で展開する時、
\[5- 3(2x + 1) → 5-3 × 2x + 3 × 1\tag{1-a}\]
としてしまうケースが多く見られます。
正しくは、こうです。
\[5- 3(2x + 1) → 5-3 × 2x-3 × 1\tag{1-b}\]
各項に「3」を掛けるのではなく、「-3」を掛ける必要があることに注意しましょう。

つまり、

\[-6x + 2 = -x + 12\]

となるので、移項→計算→割る、の順に、

\[-6x + x = 12-2\]

\[-5x = 10\]

\[x = -2\]

以上です。

括弧( )が含まれる方程式は、( )を外す

発展編②・・・答えが分数になる方程式

今度は、答えが分数になる方程式です。まだ難しくありません。

次のような問題の場合、どうなるでしょうか。

\[4x + 2 = 7\tag{1}\]

何の変哲もないように見えますが、最後にちょっと悩むかも知れません。

まず移項

\[4x = 7-2\tag{2}\]

そして計算

\[4x = 5\tag{3}\]

最後に両辺を x の係数の 4 で割ると、つまり1/4掛けると、

\[x = \frac{5}{4}\tag{4}\]

となって、「あれっ、これで終わり?合ってる?間違ってる?」と、ちょっと悩むかも知れませんが、これが正解で、最終形態です。これ以上何もする必要はありません。

掛け算(や割り算)と足し算(や引き算)を混同しない・・・
\[4x = 5\tag{3}\]
この問題を解けと言われて、「4x から 4 を引けば x になるぞ→移項しよ」と考え、
\[x = 5-4?\tag{3-a}\]
とやってしまう生徒がいますが、全然違いますので気をつけてください。
どうやら、答えが分数になりそうな流れは間違っているはずだ、というような先入観があって、答えが整数になりそうな「移項?」を選択してしまう!ようです。
そもそも、式(3)は、
\[4 × x = 5\tag{3-b}\]
という意味でした。
ですから x を求めるためには、両辺を 4 で割らなければなりません。
小数にしなくても良い・・・
\[x = \frac{5}{4}\tag{4}\]
分数が出てくると反射的に割り算をする生徒がいますが、必要ありません。そもそも、この問題の場合は割り算をしても割り切れるので問題ありませんが、分母が3だったりすると割り切れなくて困ります(*_*)。

 

答えが分数にっても、びっくりしないでそのままに
小数にしたりしなくて良い

発展編③・・・複雑な分数が含まれる方程式

この辺からが本題です。
次のような問題です。

\[\frac{x + 3}{2} + \frac{1}{6}x = 4-\frac{2x-6}{3}\tag{1}\]

分数が含まれる方程式ですから、「整数化→移項→計算→割る」の順に処理します。
分数が含まれる方程式の整数化

まず整数化で、分母の最小公倍数 6 を両辺に掛けて、

\[6 × \frac{x + 3}{2} + 6 × \frac{1}{3}x = 6 × 4-6 × \frac{2x-6}{3}\tag{2}\]

約分して、

\[\frac{\cancelto{3}{6}}{1} × \frac{x + 3}{\cancelto{1}{2}} + \frac{\cancelto{2}{6}}{1} × \frac{1}{\cancelto{1}{3}}x = 24-\frac{\cancelto{2}{6}}{1} × \frac{2x-6}{\cancelto{1}{3}}\tag{3}\]

複雑な分数の約分・・・
\[6 × \frac{x + 3}{2} + 6 × \frac{1}{3}x = 6 × 4-6 × \frac{2x-6}{3}\tag{2}\]
複雑な分数の約分ですが、分数の上下の数字を分ける長い「─」には、もれなく両端に括弧( )がついていると思って計算します。
こんな感じ。
\[6 × (\frac{x + 3}{2}) + 6 × \frac{1}{3}x = 6 × 4-6 × (\frac{2x-6}{3})\tag{2-a}\]
そして、こんな感じ。
\[6 × \frac{(x + 3)}{2}+ 6 × \frac{1}{3}x = 6 × 4-6 × \frac{(2x-6)}{3}\tag{2-b}\]
その結果、約分すると下の(4)のようになります。

整理して、

\[3(x + 3) + 2x = 24-2(2x-6)\tag{4}\]

括弧( )のついた方程式については、さっきやりました。→括弧( )が含まれる方程式

展開(括弧( )を外します)して、

\[3x + 9 + 2x = 24-4x+12\tag{5}\]

負の数が複数出てくる分配法則・・・
\[3(x + 3) + 2x = 24-2(2x-6)\tag{4}\]
この式の右辺ですが、
\[24-2(2x-6)→24+(-2)(2x-6)\]
\[→24+(-2)×2x+(-2)×(-6)→24-4x+12\]
ですよ!

整理して、

\[5x + 9 = 36-4x\]

移項→計算→割る、の順に、

\[4x + 5x = 36-9\]

\[9x = 27\]

\[x = 3\]

完成です。

複雑な分数が含まれる方程式は、基本的に、整数化→移項→計算→割る

  • 整数化の際、分数には常に括弧( )がついているものと考えて計算する
  • 分配法則で括弧( )を外す際は、「-」符号に気をつける

 

次回に続きます。

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