前回は「かなり詳しい連立方程式の解き方─その2」を取り上げました。

今回は「その3」です。
代入法①
これまでやってきた加減法とは別に、連立方程式には代入法という解法があります。
今度はそれで解いてみましょう。
\[\left\{\begin{array}{lc} x= 3y +3 & (1)\\-2y+5 =-3x & (2)\end{array}\right.\]
「 \(x=…\)」とか「 \(y=…\)」という形が表れた連立方程式は、もう一つの方の式に直接代入する(つまり代入法)ことによって、一文字消去できます。
この問題の場合は式(1)が都合よく「 \(x= 3y +3\)」の形になっていますので、式(1)を式(2)に代入して、
\[-2y+5 =-3×(3y +3)\]
計算して、
\[-2y+5 =-9y-9\]
移項→計算→割るで、
\[-2y+9y =-9-5\]
\[7y =-14\]
\[\begin{array}{c}y =-2 & (3)\end{array}\]
式(3)を式(1)に代入して、
\[\begin{array}{c}x= 3×(-2) +3 & (4)\end{array}\]
計算して、
\[x =-3\]
加減法と代入法のどちらを選ぶか・・・
連立方程式は、加減法でも代入法でもどちらでも解けますが、代入法がすんなり使えそうであればそちらを採用したほうが手数を少なくできます。
それは2文字目を解く際に、式(4)のように最初から「 \(x=…\)」の形になっている所に代入するので、移項せずに直接答えが出せるからです。
従って答えは、
\[\left\{\begin{array}{l}x=-3\\y=-2\end{array}\right.\]
代入法①
「 \(x=…\)」とか「 \(y=…\)」という形が表れた連立方程式は、
もう一方の式に直接代入する
代入法②・・・変形が必要な場合
一見、「 \(x=…\)」とか「 \(y=…\)」という形が表れていない連立方程式でも、人為的にその形を作り出し、その上で代入法を使うと効率よく解ける場合があります。
こんな問題です。
\[\left\{\begin{array}{lc} 3x= 4y +4 & (1)\\-2x-y+4 =0 & (2)\end{array}\right.\]
式(2)を見ると、移項することによって「 \(y=…\)」の形になりそうだな、とわかります。
ではその線でやってみます。
式(2)を移項して、
\[-y =-2x-4\]
\[\begin{array}{c}y =2x+4 & (2′)\end{array}\]
うまく、「 \(y=…\)」に変形できました。
ここからは上記代入法①と同じ手順です。
式(2’)を式(1)に代入して、
\[3x= 4(2x+4) +4\]
計算して、
\[3x=8x+16+4\]
移項→計算→割るで、
\[3x-8x=16+4\]
\[-5x =20\]
\[\begin{array}{c}x=-4 & (3)\end{array}\]
式(3)を式(2’)に代入して、
\[\begin{array}{c}y =2×(-4)+4 & (4)\end{array}\]
計算して、
\[y=-4\]
従って答えは、
\[\left\{\begin{array}{l}x=-4\\y=-4\end{array}\right.\]
代入法②
移項して「 \(x=…\)」とか「 \(y=…\)」という形にできる連立方程式も、
もう一方の式に直接代入する
分数や小数が含まれる連立方程式
連立方程式の締めくくりに、分数や小数が含まれるものを取り上げましょう。
次のような問題です。
\[\left\{\begin{array}{lc} 2x-\cfrac{4-3x}{4}=4y+\cfrac{7}{2} & (1)\\0.5x-\cfrac{2y}{3}-1=0 & (2)\end{array}\right.\]
まずは整数化です。
(1)式については、分母の 4 と 2 の最小公倍数の 4 を掛ければ良いことが分かります。
(2)式については少し工夫し、\(0.5x\) を10倍するのではなく2倍でも整数化が可能なことを利用して、2 と 3 の最小公倍数の 6 を掛けることにします。
\[\left\{\begin{array}{lc} 4×2x-\cancelto{1}{4}×\cfrac{4-3x}{\cancelto{1}{4}}=4×4y+\cancelto{2}{4}×\cfrac{7}{\cancelto{1}{2}} & (1)×4\\6×0.5x-\cancelto{2}{6}×\cfrac{2y}{\cancelto{1}{3}}-6×1=0 & (2)×6\end{array}\right.\]
計算して、
\[\left\{\begin{array}{lc} 8x-(4-3x)=16y+14 & (1′)\\3x-4y-6=0 & (2′)\end{array}\right.\]
さらに計算して、
\[\left\{\begin{array}{l} 11x-4=16y+14\\3x-4y-6=0\end{array}\right.\]
整頓して、
\[\left\{\begin{array}{lc} 11x-16y=18 & (1′)\\3x-4y=6 & (2′)\end{array}\right.\]
これで、見慣れた形になりました。
代入法は難しそうなので、加減法でいくことにします。
y を消去するために式(2’)を4倍して、
\[\begin{array}{l}12x-16y=24 & (2”)\end{array}\]
式(2”)から式(1’)を引いて、
\[\begin{array}{crc} & 12x-16y=24 & (2”)\\-) & 11x-16y=18 & (1′)\\── & ────────────── &───\\ & x=6 & (3)\end{array}\]
式(3)を式(2’)に代入して、
\[3×6-4y=6\]
移項→計算→割る、です。
\[-4y=6-18\]
\[-4y=-12\]
\[y=3\]
従って答えは、
\[\left\{\begin{array}{l}x=6\\y=3\end{array}\right.\]
分数や小数が含まれる連立方程式は、
まず整数化
→加減法か代入法で解く