様々な計算の基礎となる数学の概念、計算法を取り上げたいと思います。
最初は素数と素因数分解です。
素数とは
素数とは、約数が「1」と「自分自身」の2つしかない整数のことです。ただし2以上です。1とか0とか負の数(-1以下)は除外です。
例として、2~9に関して素数と素数以外に分類すると、
2・・・約数:1と2 → 素数
3・・・約数:1と3 → 素数
4・・・約数:1と2と4 → 素数ではない
5・・・約数:1と5 → 素数
6・・・約数:1と2と3と6 → 素数ではない
7・・・約数:1と7 → 素数
8・・・約数:1と2と4と8 → 素数ではない
9・・・約数:1と3と9 → 素数ではない
こんな感じです。
注意すべき点としては、2は偶数の中で唯一の素数である、ということです。他の偶数(4、6、8、・・・)は全て素数ではありません。2だけ例外です。間違えないようにして下さい。
素因数分解とは
素因数分解とは、ある整数を素数の積に分解することです。
たとえば、
\(6=2\times3\)
\(8=2\times2\times2=2^3\)
\(10=2\times5\)
などです。これらが素因数分解と呼ばれるものです。
2とか3とか11とかは、元々素数なのでこれ以上分解できません。
因数とは・・・
ちなみに因数とは、分解されたあとのそれぞれの数のことです。
たとえば、
\(12=4\times3\tag{1}\)
の「4」・「3」は因数です。でも「4」は素因数ではありません。素数ではないので。
\(12=2\times2\times3=2^2\times3\tag{2}\)
の「2」(1個め)・「2」(2個め)・「3」は因数です。そしてこれらはすべて素数なので、これらはすべて素因数です。
式(1)は素因数でないものがあるので、素因数分解とは言えません。
式(2)はすべて素因数に分解されているので、素因数分解です。
素因数分解の筆算
先程出てきた6や8や10は簡単に素因数分解できますが、通常問題として出てくるのは、180などの大きな数を素因数分解せよ、というようなものです。
では、これを効率的に解くにはどのようにすればよいでしょうか。
素因数分解のための筆算があるので、それを覚えて使えるようになりましょう。
たとえば、12を素因数分解する場合は、下のようにします。
2)12 *
2) 6 *
2) 3 *
見ればだいたい分かると思いますが、とりあえず説明します。
①まず、下のように線を引きます。
2)12 *
②次に、12を素数で割れないか試してみた後、その素数を左に書きます。
最も小さい素数から試します。つまり、2、3、5、7・・・で割れるかどうかを順に考えます。
そうすると、今回は「2」で割れることが分かりますので、それを下のように記入します。
2)12 *
③次に、選んだ素数(今回の場合は「2」)で割った答えを下に書きます。
2)12 *
2) 6 *
④これを繰り返します。
1.線を引き、さっきと同様、2、3、5、7・・・で割れるかどうか考えます。
そうすると、今回も「2」で割れることが分かりますので、それを 2.左に書きます。
2)12 *
2)16 *
2)
3.割った答えを下に書きます。
2)12 *
2) 6 *
2) 3 *
⑤一番下の答え(今回の場合は「3」)が素数になっていれば、それで終わりです。
⑥答えを書きます。
\[12=2^2\times3\]
では最初に挙げた180を素因数分解してみましょう。
2)180 *
2) 90 *
3) 45 *
3) 15 *
2) 5 *
よって、
\[180=2^2\times3^2\times5\]
となります。
素因数分解を使った、最大公約数・最小公倍数の導き方・・・
2つの数の最大公約数・最小公倍数は、素因数分解を使って効率的に求められます。
先程やった手順と同じですが、割るときに共通の約数(つまり公約数)で両方を同時に割るようにして下さい。
たとえば、「12と18の最大公約数と最小公倍数」は次のようにして求められます。
2)12 18 *
3) 6 9 *
2) 2 3 *
上のように素因数分解し、
最大公約数・・・左の数字の積=2✕3=6
最小公倍数・・・左の数字と下の数字の積=2✕3✕2✕3=36
となり、機械的に導き出せます。