前回は、「かなり詳しい二次方程式の解き方─基本編①」を考えました。

今回はそのつづきで、因数分解の公式を利用して解く問題です。
因数分解の公式①の利用
「因数分解の公式①」を使って解いてみましょう。
\[x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\]
こんな問題です。
\[x^2+x-12=0\tag{1}\]
まず左辺を因数分解します。
「足して1、掛けて-12」になる2数を探せばよいということになります。
それは「4と-3」ですね。ですから、左辺を因数分解すると式(1)は、
\[(x+4)(x-3)=0\tag{1′}\]
となります。
さて前回考えたように、2つのものを掛ける場合、どちらかが 0 なら積は 0 である、ということでした。ですから、
\(x+4=0\) または \(x-3=0\)
となります。
ゆえに答えは、
\(x=-4\) または \(x=3\)
です。
「 \(x=4\) または \(x=-3\) 」ではない!
式(1’)の手前で、「足して1、掛けて-12」になる2数が「4と-3」とわかったときに、反射的に答えを「 \(x=4\) または \(x=-3\) 」としてしまうことがありますが、それは間違いで、正しくは「 \(x+4=0\) または \(x-3=0\) 」なので、答えは「 \(x=-4\) または \(x=3\) 」です。よく注意して下さい。
因数分解の公式②平方の利用
次は「因数分解の公式②平方」を使った解法です。
\[x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\]
こんな問題です。
\[y^2+20y+100=0\tag{2}\]
まず左辺を因数分解します。
「足して20、掛けて100」になる2数を探してもよいのですが、よく見ると定数項が10の2乗(つまり10の平方)になっていますので、「2倍して20、2乗して100」になる数字を探すほうが良いということになります。
それは「10」です。ですから、左辺を因数分解すると式(2)は、
\[(y+10)^2=0\tag{2′}\]
これは次のようにも書けます。
\[(y+10)(y+10)=0\tag{2”}\]
ここでいつものように、2つのものを掛ける場合、どちらかが 0 なら積は 0 なので、
\(y+10=0\) または \(y+10=0\)
となりますが、これら2つは結局同じものですね。
ゆえに答えは、
\[y=-10\]
です。
因数分解の公式③和と差の積
次は「因数分解の公式③和と差の積」を使った解法です。
\[x^2-a^2=(x+a)(x-a)\]
こんな問題です。
\[x^2-49=0\tag{3}\]
「何かの2乗」-「何かの2乗」の形になっています。
ですから、左辺を因数分解すると、式(3)はこうなります。
\[(x+7)(x-7)=0\]
従って答えは、
\(x=7\) または \(x=-7\)
となります。
ちなみに答え方として、
\[x=7,-7\]
とか、
\[x=\pm7\]
などと書くこともできます。
次回に続きます。