前回は「かなり詳しい方程式の解き方─その2」を取り上げました。

難易度⑤・・・整数化(分数)→移項→計算→割る
今度は整数化の分数版です。
例えば、
\[x + \frac{2}{3}= \frac{1}{2}x + \frac{5}{3}\tag{1}\]
この形式の方程式も、まず分数が煩わしいので整数にしておきます。移項したくなりますが、まず整数化です。ちゃんと最初に整数化すると、これまで通りの方法で計算できます。
整数化の方法ですが、分母にある数字たち(この問題の場合は左辺の3、右辺の2、右辺の3、の3つ)の最小公倍数(この問題の場合は、2と3の最小公倍数で6)を両辺に掛けるとOKです。
最小公倍数は何か難しそうに感じるで、単純に分母の掛け算を利用しようとする子たちもいます。それでも答えを出せますが、例えば上記の式(1)で単純にそれをすると、3と2と3の掛け算の18を両辺に掛けることになってしまい、全体の数字が大きくなって間違いのもととなります。ですから、なるべく小さい数字を掛けてあとの計算を楽にするために、分母の最小公倍数を採用します。
・最初に楽をして分母の掛け算を使う→あとで苦労する(場合によっては計算を間違えて答えにたどり着かない)
・最初にちょっと考えて最小公倍数を使う→あとで楽できる
両辺を6倍して、
\[6 (x + \frac{2}{3}) = 6 ( \frac{x}{2} + \frac{5}{3})\tag{2}\]
\[\frac{1}{2}x = \frac{x}{2}?\]
なぜこうなるのでしょうか。その理由は以下の通りです。
\[\frac{1}{2}x = \frac{1}{2} × x = \frac{1}{2} × \frac{x}{1} = \frac{x}{2}\]
分配法則を適用して、
\[6x + \frac{6}{1} × \frac{2}{3}= \frac{6x}{2} + \frac{6}{1} × \frac{5}{3}\tag{3}\]
次に約分します。
\[6x + \frac{\cancelto{2}{6}}{1} × \frac{2}{\cancelto{1}{3}}= \frac{\cancelto{3}{6}x}{\cancelto{1}{2}} + \frac{\cancelto{2}{6}}{1} × \frac{5}{\cancelto{1}{3}}\tag{4}\]
整理すると、
\[6x + 4 = 3x + 10\tag{5}\]
\[6x + \frac{6}{1} × \frac{2}{3}= \frac{6x}{2} + \frac{6}{1} × \frac{5}{3}\tag{3}\]
この問題でもし先に分母同士・分子同士を掛け算すると、こうなります。
\[6x + \frac{12}{3}= \frac{6x}{2} + \frac{30}{3}\tag{3-a}\]
数字が大きくなっており、約分の難易度が上がっています。
この程度の問題の場合は大したことありませんが、もう少し複雑になってくると数字が跳ね上がって約分がかなり難しくなりますから、あとで楽するためにも必ず分数の掛け算はまず約分してください。
\[6x + \frac{6}{1} × \frac{2}{3}= \frac{6x}{2} + \frac{6}{1} × \frac{5}{3}\tag{3}\]
掛け算の約分ですから、それぞれの項の中で相手を見つけて約分してください。
次の式のような約分は間違いです。
\[6x + \frac{6}{1} × \frac{2}{3}= \frac{\cancelto{2}{6}x}{2} + \frac{6}{1} × \frac{5}{\cancelto{1}{3}}\tag{3-b}\]
この問題の場合は、わかりやすく書くと以下のような()内で約分の相手を見つけます。
\[(6x) + (\frac{6}{1} × \frac{2}{3})= (\frac{6x}{2}) + (\frac{6}{1} × \frac{5}{3})\tag{3-c}\]
ですから、こうなります。
\[6x + \frac{\cancelto{2}{6}}{1} × \frac{2}{\cancelto{1}{3}}= \frac{\cancelto{3}{6}x}{\cancelto{1}{2}} + \frac{\cancelto{2}{6}}{1} × \frac{5}{\cancelto{1}{3}}\tag{4}\]
ここまで来れば、「難易度③」と同じく、移項→計算→割るです。
\[6x + 4 = 3x + 10\tag{5}\]
移項して、
\[6x-3x = 10-4\]
計算して、
\[3x = 6\]
最後に3で割ると、
\[x = 2\]
できました!
手順をもう一度整理しておきましょう。
難易度⑤
分数が混じった方程式は、まず整数化する
具体的には、分母の最小公倍数を両辺に掛ける
その後で、移項→計算→割る
次回に続きます。
