これまで、乗法公式や因数分解について一生懸命学習しました。ではいよいよこれらを駆使して、締めくくりとなる二次方程式の解き方を取り上げましょう。
二次方程式とは
二次方程式とは、ある文字について最大の次数が2である方程式のことです。
たとえば次のようなものです。
\[x^2-4x+3=0\tag{1}\]
これは、「 \(x\) 」についての二次方程式です。
この式を満たす「 \(x\) 」を探します。
二次方程式の解を探す
勘のいい人は、「 \(x=1\) 」が式(1)の答えであることがすぐわかるかも知れません。
実際に「 \(x=1\) 」を式(1)に代入すると、
\[1^2-4\times1+3=1-4+3=0\]
となり、「 \(x=1\) 」が式(1)を満たすことが分かります。
ところが、更に洞察力に優れた人は、「 \(x=3\) 」も式(1)を満たすことを発見したかも知れません。
こちらに関しても実際に「 \(x=3\) 」を式(1)に代入すると、
\[3^2-4\times3+3=9-12+3=0\]
となり、「 \(x=3\) 」も式(1)を満たすことが分かります。
二次方程式の解の個数
一つの方程式に対して答えが2つもあることは面白い、と感じたでしょうか。そのように感じる人は、この分野の学習に対し、意欲を持って取り組めるでしょう。
一般にn次方程式の解の個数はn個あります。三次方程式なら3個、四次方程式なら4個といった具合です。しかし、重解があれば見た目の個数は減り、さらに問題によっては解無しということもあります。このあたりは、今の所そういうもんだと頭の片隅に置いておくだけで良いでしょう。
勘に頼らない二次方程式の解き方
先程の式(1)は比較的係数が小さかったので、人によっては勘でも解けたかも知れません。しかし、勘が悪い人は解けない、あるいは勘が働かない場合は解けないというのでは困るので、誰でも解ける解き方をこれからご説明しましょう。
二次方程式の解き方の基本は、因数分解です。
では、因数分解を学習したときと同じ要領で、順を追って解き方を考えましょう。
共通因数でくくる
最初に、最も基本的な共通因数でくくる問題を考えましょう。
例えばこんな感じです。
\[x^2-3x=0\tag{2}\]
この問題では、共通因数が「 \(x\) 」ですから「 \(x\) 」をくくり出します。
\[x(x-3)=0\tag{2′}\]
ここで、ある重要な考え方を適用します。それは、
というものです。
2つのものを掛ける場合、どちらかが 0 ならば積は 0 である
たとえば、
\[A\times B=0\tag{3}\]
が成り立つには、どうなっている必要があるでしょうか。
\(A=0\) であれば式(3)は成り立ちますね。
\(0\times B=0\) ですから。
また、\(B=0\) でも式(3)は成り立ちますね。
\(A\times0=0\) ですから。
もちろん、両方0でも成り立ちます。
逆に、どちらも 0 でなければ、掛けて 0 にはなり得ません。
一般に、n個のものを掛ける場合、どれか一つでも 0 ならばその積は 0 です。
これも、頭の片隅にでも置いておいて下さい。
\(x^2-3x=0\) の解法
それでは、先ほど取り上げた例題の式(2)\(x^2-3x=0\) を解いてみましょう。因数分解して、
\[x(x-3)=0\tag{2′}\]
となっていました。
この式の左辺は、「 \(x\) 」と「 \(x-3\) 」を掛けた形になっています。
ここで、「2つのものを掛ける場合、どちらかが 0 なら積は 0 である。」ということですから、
\(x=0\) か \(x-3=0\)
ということになります。
よって答えは、
\(x=0\) または \(x=3\)
となります。
これで完成です。
実際に式(2)にこれらを代入してみると、
\(x=0\) の場合、 \(0^2-3\times0=0-0=0\)
\(x=3\) の場合、 \(3^2-3\times3=9-9=0\)
となり、これらは確かに式(2)の解となっていることが分かります。
次回に続きます。