// //

かなり詳しい因数分解の解き方─応用編②置き換え

前回は、「かなり詳しい因数分解の解き方─応用編①共通因数」を考えました。

かなり詳しい因数分解の解き方─応用編①
前回は、「かなり詳しい因数分解の解き方─基本編」を考えました。 今回はその応用編です。 共通因数 + 因数分解の公式 共通因数でくくってから、因数分解の公式を適用する問題です。 因数分解の問題を解く際の鉄則として、以...

今回はその続きです。

置き換え + 因数分解の公式

考えやすいように何らかの形に置き換えてから、因数分解の公式等を適用する問題です。

手際よく因数分解の問題を解くために、以下のことを頭に入れておく必要があります。

手際の良い因数分解の解き方・・・
まず置き換える→共通因数でくくる→因数分解の公式を使う→置き換えた文字を復元する

置き換え + 因数分解の公式①

では実際にやってみましょう。

\[(x+1)^2+4(x+1)+3=?\]

まず置き換えます。どう見ても、「 \((x+1)\) 」を何かに置き換える問題になっています。
それで、「 \(x+1=A\) 」と置いてみることにします。

\[(x+1)^2+4(x+1)+3=A^2+4A+3\]

すると、見慣れた形になっています。因数分解できそうです。

因数分解の公式①を使ってみます。
「足して4、掛けて3」になる2数を探せばよいということになりますが、それは「1と3」です。
それで、こうなります。

\[(x+1)^2+4(x+1)+3=A^2+4A+3=(A+3)(A+1)\]

これで完成、ではありません!
置き換えた文字を復元する必要があります。忘れがちですので注意して下さい。
「 \(x+1=A\) 」を使って復元します。

\[(A+3)(A+1)=\{(x+1)+3\}\{(x+1)+1\}=(x+4)(x+2)\]

従って、

\[(x+1)^2+4(x+1)+3=(x+4)(x+2)\]

となり、これで完成です。

置き換えなくても解けるが・・・

この種の問題は置き換えなくてもやろうと思えばできます。
最初に置き換えずに全てを展開して、
\[(x+1)^2+4(x+1)+3=(x^2+2x+1)+(4x+4)+3\]\[=x^2+6x+8=(x+4)(x+2)\]

というふうに、置き換えたときと同じ結果になります。
とは言え、この問題は例題として比較的簡単に作ってある問題なので展開してもそう苦労することなく解けますが、実際には置き換えないと計算量が多くなったり途中のプロセスが難解になったりして間違いのもと(場合によってはほぼ解けない)になります。

最初にちょっと考えて楽に計算するか、最初に考えずにあとで苦労するかです。好きな方を選んで下さい。もちろんおすすめは、最初にちょっと考えて置き換える解き方です。

置き換え + 因数分解の公式②平方

同様に、まず置き換える問題をやってみましょう。

\[2(a+b)^2+20(a+b)+50=?\]

まず置き換えます。この問題もどう見ても、「 \((a+b)\) 」を何かに置き換える問題になっていますね。
それで、「 \(a+b=A\) 」と置いてみることにします。

\[2(a+b)^2+20(a+b)+50=2A^2+20A+50\]

すると、共通因数である2でくくれそうですので、それをやっておきます。

\[2(a+b)^2+20(a+b)+50=2A^2+20A+50=2(A^2+10A+25)\]

そうすると、括弧( )の中が見慣れた形になっています。因数分解できそうです。

因数分解の公式②平方を使います。
「2倍して10、2乗して25」になる数を探せばよいということになりますが、それは「5」です。
それで、こうなります。

\[2(A^2+10A+25)=2(A+5)^2\]

そして、これで完成ではありません!
置き換えた文字を復元する必要があります。
「 \(a+b=A\) 」を使って復元します。

\[2(A^2+10A+25)=2(A+5)^2=2\{(a+b)+5\}^2=2(a+b+5)^2\]

従って、

\[2(a+b)^2+20(a+b)+50=2(a+b+5)^2\]

となり、これで完成です。

ちなみに、この問題を文字の置き換えをせずに展開してから解こうとするとまず解けません。高校で習う公式を使うと解けるかも知れませんが。

置き換え + 因数分解の公式③和と差の積

最後にもう一問、置き換えをしてから解く問題をやってみましょう。

\[(x+2y+2)^2-4=?\]

まず置き換えます。「 \(x+2y+2\) 」を何かに置き換えることにしましょう。
それで、「 \(x+2y+2=A\) 」と置いてみることにします。

\[(x+2y+2)^2-4=A^2-4\]

すると、見慣れた形になっています。因数分解できそうです。

因数分解の公式③和と差の積を使いましょう。
すぐにできますね。

\[(x+2y+2)^2-4=A^2-4=(A+2)(A-2)\]

そして、置き換えた文字を復元します。
「 \(x+2y+2=A\) 」でしたから、

\[(A+2)(A-2)=\{(x+2y+2)+2\}\{(x+2y+2)-2\}=(x+2y+4)(x+2y)\]

従って、

\[(x+2y+2)^2-4=(x+2y+4)(x+2y)\]

となり、これで完成です。

置き換えなくてもできる人は・・・

置き換え問題は、別の文字に置き換えなくても、頭の中で置き換えたのと同様の処理ができます。
今考えた問題であれば、因数分解の公式③和と差の積を直接当てはめて、
\[(x+2y+2)^2-4=\{(x+2y+2)+2\}\{(x+2y+2)-2\}=(x+2y+4)(x+2y)\]
というふうに、できる人はやって下さい

次回に続きます。

タイトルとURLをコピーしました