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分配法則と乗法公式─応用編

前回は、「分配法則と乗法公式─基本編」を考えました。

分配法則と乗法公式─基本編
因数分解や2次方程式を解くための基礎となる、分配法則と乗法公式を取り上げましょう。 分配法則 まずは分配法則です。 分配法則① 最も基本的な分配法則は以下の通りです。 \ これは問題ないでしょう。 例えば、 ...

今回はその応用編です。

分配法則の応用

まずは分配法則です。

前回分配法則②で考えた以下の公式を使うのですが、

もっと項が多い時の対応についてです。
以下のような問題はどうすると良いでしょうか。

\[(a-2b+c)(4d-5)=?\]

最初の括弧( )の中に項が3つもあるので最初は戸惑います。でも、自分が知っている形に持っていくことによって、コツコツやれば答えにたどり着きます。

どうやるかというと、「文字の置き換え&復元」のテクニックを使うのです。
この問題の場合は、\(a-2b=A\) と置き換えてみます。
するとこうなります。

\[\{(a-2b)+c\}(4d-5)=(A+c)(4d-5)\]

この形はまさしくあの形です。
それで、公式を使って、

\[\{(a-2b)+c\}(4d-5)=(A+c)(4d-5)=4Ad-5A+4cd-5c\]

そして、復元します。
\(a-2b=A\) を適用すると、

\(\{(a-2b)+c\}(4d-5)=(A+c)(4d-5)=4Ad-5A+4cd-5c\)
\[=4(a-2b)d-5(a-2b)+4cd-5c=4ad-8bd-5a+10b+4cd-5c\]

できました。

これ以上はまとめられません・・・
答えがとても長いので戸惑うかも知れません。でもこれが答えです。
解答に出てくる項は、前から順に「 \(ad\) 」の項、「 \(bd\) 」の項、「 \(a\) 」の項、「 \(b\) 」の項、「 \(cd\) 」の項、「 \(c\) 」の項ですから同類項が一つもなく、これ以上はまとめられません

乗法公式の応用①

続いて乗法公式です。

1以外の係数がついている場合

これも前回乗法公式①で考えた以下の公式を使うのですが、

「 \(x\) 」の部分に1以外の係数がついている場合です。
こんな問題です。

\[(2x+3)(2x-5)=?\]

「 \(x\) 」に 2 がくっついていますが、公式の「\(x\)」の所が「\(2x\)」に変わっただけなので、次のように公式を素直に当てはめれば恐れる必要はありません。

\[(2x+3)(2x-5)=(2x)^2+(3-5)\times2x+3\times(-5)=4x^2-4x-15\]

\((3-5)x\) ではない!・・・
展開後の2項目ですが、公式の「\(x\)」の所が「\(2x\)」に変わっているので、\((3-5)x\) ではなく  \((3-5)\times2x\)  であることに注意して下さい。

項が多い場合

こんな問題です

\[(x+2y+1)(x+3y+1)=?\]

それぞれの括弧( )の中に項が3つありますが、今回も自分が知っている形に持っていくことによって、コツコツやれば答えにたどり着きます。

つまり先ほど考えた、「文字の置き換え&復元」のテクニックを使うのです。
この問題の場合は、\(x+1=A\) と置き換えてみます。
するとこうなります。

\[\{(x+1)+2y\}\{(x+1)+3y\}=(A+2y)(A+3y)=A^2+5yA+6y^2\]

ここで、復元します。
\(x+1=A\) を適用すると、

\[A^2+5yA+6y^2=(x+1)^2+5y(x+1)+6y^2=x^2+2x+1+5xy+5y+6y^2\]

できました。

乗法公式の応用②平方

次は、平方の乗法公式を使った応用です。

1以外の係数がついている場合

今度は前回乗法公式②で考えた以下の公式を使うのですが、

「 \(x\) 」の部分に1以外の係数がついている場合です。
こんな問題です。

\[(3y-2)^2=?\]

公式の「\(x\)」の所が「\(3y\)」に変わっただけなので、大丈夫ですね。
ちなみに「\(a\)」は「\(-2\)」ですよ!

\[(3y-2)^2=(3y)^2+2\times3y\times(-2)+(-2)^2=9y^2-12y+4\]

項が多い場合

こんな問題です

\[(x+2y+3)^2=?\]

括弧( )の中に項が3つありますが、今回も自分が知っている形に持っていくことにします。

文字の置き換え&復元」のテクニックです。
この問題の場合は、\(2y+3=Y\) と置き換えてみます。
するとこうなります。

\[\{x+(2y+3)\}^2=(x+Y)^2=x^2+2xY+Y^2\]

ここで、復元します。
\(2y+3=Y\) を適用すると、

\[x^2+2xY+Y^2=x^2+2x(2y+3)+(2y+3)^2=x^2+4xy+6x+4y^2+12y+9\]

できました。

乗法公式の応用③和と差の積

次は、和と差の積の乗法公式を使った応用です。

1以外の係数がついている場合

今度は前回乗法公式③で考えた以下の公式を使うのですが、

こんな問題です。

\[(3x+2)(3x-2)=?\]

公式の「\(x\)」の所を「\(3x\)」に変えて考えます。
すると、

\[(3x+2)(3x-2)=(3x)^2-2^2=9x^2-4\]

項が多い場合

こんな問題です

\[(x+2y-3)(x-2y+3)=?\]

括弧( )の中に項が3つあり、一見すると乗法公式③を使えなさそうなんですが、次のように括弧( )でくくるとうまくいきます。

\[(x+2y-3)(x-2y+3)=\{x+(2y-3)\}\{x-(2y-3)\}\]

ここで満を持して「文字の置き換え&復元」のテクニックの登場です。
この問題の場合は、\(2y-3=Y\) と置き換えてみます。
するとこうなります。

\[\{x+(2y-3)\}\{x-(2y-3)\}=(x+Y)(x-Y)=x^2-Y^2\]

ここで、復元します。
\(2y-3=Y\) を適用すると、

\[x^2-Y^2=x^2-(2y-3)^2=x^2-(4y^2-12y+9)=x^2-4y^2+12y-9\]

できました。

\(-(2y-3)^2\) の展開で括弧( )を無視しない・・・
\(-(2y-3)^2\) を展開するときは、括弧( )の中を計算した後に、先頭の「-」を各項に掛けていく必要がありますので、間違えないようにしましょう。
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