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かなり詳しい因数分解の解き方─基本編

2次方程式を解くための道具となる、因数分解を取り上げましょう。

因数分解とは

そもそも因数分解とは何でしょうか。因数分解とは、いくつかの項に別れた式を掛け算の形に変形することです。これは、分配法則などを使って行う展開の反対ですね。

例としては、

\[2(x+2y)=2x+4y\]

これは分配法則を使って展開した式ですが、これの反対の、

\[2x+4y=2(x+2y)\]

が、因数分解です。

因数分解の問題は、上記のように共通因数(上の例でいうと「2」)でくくったり、因数分解の公式(=分配法則の反対)を使ったりして解きます。

共通因数でくくる

では、共通因数でくくる問題を考えましょう。

先ほど考えたものと同様のものですが、例えばこんな感じです。

\[6ax-3ay=3a(2x-y)\tag{1}\]

この問題では、共通因数が「 \(3a\) 」ですから「 \(3a\) 」でくくり出しています。右から左に展開すると、左右が同じであることが分かると思います。

共通因数とは、各項に掛けられている共通の数字や文字のことです。上記の式(1)では、掛けられている共通の数字は「 \(3\) 」、共通の文字は「 \(a\) 」ということになり、これらが共通因数です。

因数分解の公式①

次は因数分解の公式を使った解法です。
こんな問題です。

\[x^2+5x+6=?\tag{2}\]

今度は、以前学んだ乗法公式①の逆をやります。
以前学んだ乗法公式①は以下のようなものでした。

「因数分解の公式①」はその反対で、次のようなものです。

\[x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\]

左辺の2項目の「 \((a+b)\) 」と3項目の「 \(ab\) 」に注目できます。
これらが式(2)\(x^2+5x+6=?\) の左辺の「5」と「6」に相当します。

つまり、

\[\left\{\begin{array}{l}a+b=5\\ab=6\end{array}\right.\]

を満たす「 \(a\) 」と「 \(b\) 」を探せばよいわけです。

言い換えると、 「足して5、掛けて6」になる2数を探せばよいということになります。
そういう2数は1通りしかなく、「2と3」です。ですから「 \(a=2\) 」「 \(b=3\) 」(逆でも良い)となります。

よって答えはこうです。

\[x^2+5x+6=(x+2)(x+3)\]

これで完成です。

因数分解の公式②平方

次は「因数分解の公式②平方」を使った解法です。
こんな問題です。

\[x^2-6x+9=?\tag{3}\]

今度は、以前学んだ乗法公式②平方の逆をやります。
以前学んだ乗法公式②平方は以下のようなものでした。

因数分解の公式②平方はその反対で、次のようなものです。

\[x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\]
そして、これも覚えておくと良いかも知れません。
\[x^2-2ax+a^2=(x-a)^2\]

これらの公式は、「何かの2乗」が2つ出てくるときに使える公式(上の公式の場合は「 \(x^2\) 」と「 \(a^2\) 」)です。

左辺の2項目の「 \(2a\) 」と3項目の「 \(a^2\) 」に注目できます。
これらを式(3)\(x^2-6x+9=?\)の左辺と比較してみると、「-6」と「9」が該当します。

つまり、

\[\left\{\begin{array}{l}2a=-6\\a^2=9\end{array}\right.\]

を満たす「 \(a\) 」を探せばよいわけです。

言い換えると、 「2倍して-6、2乗して9」になる数を探せばよいと言うことです。
そういう数は1つしかなく、「-3」です。ですから「 \(a=-3\) 」となります。

よって答えはこうです。

\[x^2-6x+9=(x-3)^2\]

これで完成です。

因数分解の公式①でも解ける・・・

この種の問題は、公式②「 \(x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\) 」ではなく公式①「 \(x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\) 」を使って解くこともできます。
つまり、 「足して-6、掛けて9」になる2数を探せばよいわけです。
それはすなわち「-3」と「-3」です。
ですから答えは結局、
\[x^2-6x+9=(x-3)(x-3)=(x-3)^2\]
となります。

因数分解の公式③和と差の積

次は「因数分解の公式③和と差の積」を使った解法です。
こんな問題です。

\[x^2-16=?\tag{4}\]

今度は、以前学んだ乗法公式③和と差の積の逆をやります。
以前学んだ乗法公式③和と差の積は以下のようなものでした。

因数分解の公式③和と差の積はその反対で、次のようなものです。

\[x^2-a^2=(x+a)(x-a)\]

「何かの2乗」-「何かの2乗」の形になっているときに使える公式です。
式(4)\(x^2-16=?\) の左辺を見てみると、その形になっています。

つまり、 「 \(x\) 」の2乗、「 \(4\) 」の2乗になっていますから、答えはこうです。

\[x^2-16=(x+4)(x-4)\]

これで完成です。

次回に続きます。

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